食文化、と言うと、どうしても料理に目を向けがちですが、
サービスや店の雰囲気も重要な要素になります。
ミシュランガイドにおいても、
料理は三ツ星だが店の規模がいまいち、という理由で二ッ星に据え置かれた
店が過去何店かありました。
今でこそ日本でもソムリエの活躍などによってサービスが
食文化に重要であるという認識がされてきておりますが、
私が初めてパリに行こうと思った25年前は
さほどサービスは重要視されていませんでした。
だからこそなんとか本場の空気を吸って、
少しでも自分の技術を向上させたいと願い
パリに行くことにしたのです。
パリで初めて食べに行ったミシュラン星付きレストランは
「フォージュロン」という二つ星でした。
なにせ初めての海外旅行でしたので、
予約の仕方が分からず、現地についてから
ガイドさんにお任せして予約してもらった店なので、
そのお店の情報は一切ありませんでした。
それでもこの時は同僚と一緒の旅でしたので
心強く星付きレストランを体験することができました。
まず驚いたのが、ディナータイムが夜8時から、ということです。
我々の勤めていたホテルのレストランでは8時と言えば
そろそろ閉店の準備をし始める、そんな時間です。
そんな時間から食事を始めるなんて、なんとパリジャンは宵っ張りなのだろう。
次に驚いたのが、ギャルソンたちが実に堂々としていることでした。
身のこなしが美しく、組織がしっかりしているので無駄な動きがない。
ソムリエの華麗に、そしてすばやいコルクを抜く作業に
目が釘付けになりました。
料理は、なじみのないハーブなどが困りましたが、
素材は抜群に美味しかった。
私はメインに子羊を注文したのですが、この子羊が実に柔らかいのです。
当時日本ではすじばった、切るのに一苦労する子羊しか食べていなかったので、
ナイフの刃を肉に乗せただけでスゥ~っと切れていく子羊に衝撃を受けました。
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