古今東西、白いものには憧れるようです。
昔の中国の陶工たちは、少しでも白い器を作ろうと
努力を重ね、ついに白磁器を完成させました。
中世ヨーロッパのご婦人方は、肌を少しでも白く見せようと
わざとホクロを顔にかいていたそうです。
食べ物でも、欧州の貴族は小麦を精白して白いパンを作り上げ、
庶民にとっては高嶺の花でしたし、
日本でもコメを精白して「銀シャリ」と呼んでありがたがりました。
ところが精白して取り除いた部分には栄養素がたっぷり詰まっていたのです。
江戸時代の白米を食べていた江戸では「江戸患い」と呼ばれた
脚気が流行しました。
獣肉を食べる習慣のなかった当時、ビタミンB1の補給源は玄米からでした。
その玄米から栄養分を取り除いてしまったため、ビタミンB1不足になって
脚気が増えたのです。
ビタミンやミネラルの働きが解明されている今、
玄米や雑穀が見直されています。
欧米でも胚芽入りのパンの方が主流になりつつあります。
食べ物の「白」ブームはたかだか2~300年ほどでしかありません。
洗練は洗練として残しつつ、少しずつでも本来の食べ方に
戻していきたいものですね。
コメントをお書きください